ビフィズス菌HN019™

ビフィズス菌HN019™とは

ニュージーランド牛乳及び健康研究センター、ニュージーランド乳業研究所、その他の国際的に名声のある研究者により進められた5年間にわたる研究プロジェクトの成果で発見されたビフィズス菌の菌株名です。

腸上皮細胞に付着しているHN019™(©IFF)

様々な研究によればある種の乳酸菌を摂取することにより、いくつかの生理機能、特に免疫システムの機能が向上することが分かっています。 そして、より効能のある菌種を求めて研究が積み重ねられた結果、HN019™が発見されたのです。

ビフィズス菌HN019™の特徴

1.プロバイオティクスとは

プロバイオティクスとは、「腸内環境のバランスを改善することにより、宿主(人など)に有益な作用をもたらす
生きた「微生物」と定義されます。

プロバイオティクス(probiotics)は抗生物質(antibiotics)に対比される言葉で、生物間の共生関係(probiosis)を意味する生態学的用語を起源とします。

抗生物質(アンチバイオティクス)による医学療法は病原菌を殺すと同時に、腸内の有用菌も殺してしまいます。プロバイオティクスは良いものは残し悪いものだけを排除するという予防医学の発想によるものです。
HN019™はプロバイオティクスの要件を幅広く満たすとして、約2000種の菌の中から選ばれたビフィズス菌です。

2.安心・安全

HN019™はヒトでの臨床試験において、摂取しても安全であることが確認されています。

HN019™を使用した、ヒト臨床試験の一例

この試験には小児、成人、高齢者も含まれており、いずれも安全性においての懸念は報告されませんでした。
これらの例以外にも、多数の臨床試験においてHN019™の安全性が確認されています。

HN019™(CFU※)の
1日投与量
HN019™投与例(名) 被験者の年齢(歳) 摂取期間(日) 参考
20億個 慢性歯周炎患者20名 31歳以上 30 Invernici et al 2018
高用量:100億個
低用量:10億個
便秘症状の患者
152名
18-70 28 Ibarra et al 2018
25億個 下痢症の就学前児童130名 2-5 9ヶ月 Hemalatha et al 2014
Hemalatha et al 2017
272億個 メタボリックシンドローム
の患者26名
18-60 45 Bernini et al 2016
1千万個 妊婦69名 18-35 69 Wibowo et al 2016
90億個 母子114組 4-6 母親:妊娠35週~分娩後6ヶ月、小児:0~2歳 Marlow et al 2015
Morgan et al 2014

※菌数のこと

※この表は横にスクロールしてご覧いただけます。

3.生きて腸まで届く

HN019™は消化液の胃酸や胆汁に対する耐性を持っているため、生きて腸まで届きます。

消化器系を生きて通過する力は、プロバイオティクスの重要な特性となっています。
そのためには様々な特性が関連していると考えられていますが、中でも最も重要なのは、胃の中の高酸性低pH条件と、高濃度の胆汁酸塩の、両方に対する耐性になります。
HN019™は、研究の中で、低pHに対する高い耐性と、胆汁酸塩に対する耐性が実証されています。

低pH(pH 3.0)と高胆汁濃度下での、HN019™の生存数(Prasadら1998)
消化器官状態の試験管内での生存率
耐酸性 ++++
90%以上の生存率
塩酸およびペプシン(1%)
pH3.5・37°C・1時間
胆汁酸塩
耐性
+
最大68%の生存率
0.3%胆汁酸塩含有培地

++++Excellent +++Very good ++good +Fair

消化器官状態の試験管内での、HN019™の生存率(©IFF)
※胆汁酸塩:胆汁の成分、アルカリ性
Adapted from Prasad, J., Gill, H., Smart, J., Gopal, P.K. (1998). Selection and characterisation of Lactobacillus and Bifidobacterium strains for use as probiotics. International Dairy Journal 8, 993-1002.

4.腸にとどまる

HN019™は他の乳酸菌と比較して、腸内にとどまるチカラが優れています。

試験管中のヒト腸上皮細胞への菌株の接着指数
Adapted from Gopal, P.K., Prasad, J., Smart, J., Gill, H.S. (2001). In vitro adherence properties of Lactobacillus rhamnosus DR20 and Bifidobacterium lactis DR10 strains and their antagonistic activity against an enterotoxigenic Escherichia coli. International Journal of Food Microbiology 67, 207-216.

5.腸内の乳酸菌や
ビフィズス菌をふやす

HN019™は生きて腸内を通ることで腸内の乳酸菌の数を増加させます。
また、HN019™の摂取によりビフィズス菌、乳酸桿菌といった腸内細菌の増加が観察されています。

HN019™は、生きて腸内を通ることで、乳酸菌の数を増加させることが実験にて分かっています。(グラフ1:継続的な摂取で乳酸菌が増加し、摂取を止めると乳酸菌が減少していることを示しています)

グラフ1【HN019™を摂取前・摂取中・摂取後それぞれでの、健康な被験者の糞便中におけるビフィズス菌と乳酸菌の数】
Adapted from Gopal, P.K., Prasad, J., Gill, H.S. (2003). Effects of the consumption of Bifidobacterium lactis HN019 (DR10 TM) and galactoーoligosaccharides on the microflora of the gastrointestinal tract in human subjects. Nutrition Research 23, 1313-1328.

摂取後、ビフィズス菌、乳酸桿菌、腸球菌の統計的に有意な増加が観察されました。用量によって反応に有意差はなく、試験された最低用量(6.5x107 CFU /日)でさえビフィズス菌や乳酸桿菌を増やすことを示しています。(グラフ2:摂取期間中はビフィズス菌と乳酸桿菌が増加していることを示しています)

グラフ2【高齢被験者におけるHN019™の摂取量の差による糞便中のビフィズス菌と乳酸桿菌の数へ及ぼす影響】
※腸球菌:腸内細菌のうち、球状のもの。
Adapted from Ahmed, M, Prasad, J., Gill, H., Stevenson, L., Gopal,P. (2007). Impact of consumption of different levels of Bifidobacterium lactis HN019 on the intestinal microflora of elderly human subjects. The Journal of Nutrition, Health & Aging 11, 26.

6.お腹の調子を整える

HN019™を摂取することで、便秘や下痢といった症状の頻度を減少させることが認められています。

HN019™はその摂取容量によって安定的に、便の腸内通過する時間を減少させ、成人の機能性消化器症状(嘔吐、逆流、腹痛、吐き気、ゴロゴロ、便秘、下痢、排便、鼓腸など)の頻度を減少させることが認められています。

試験群ごとの14日間の腸内通過時間(CTT)の変化

腸内通過時間は、通常時と研究期間終了時の両方で、X線と放射線不透過性マーカーの投与を組み合わせて評価。
HN019™を摂取したグループでは、14日間の研究期間にわたって全腸通過時間の平均が統計的に有意に減少し、プラセボグループでは変化は観察されなかった。

※放射線不透過性マーカー:X線撮影時に影となる目印。
※プラセボ:有効成分が含まれていないもの。偽薬。
Adapted from Waller, P.A., Gopal, P.K., Leyer, G.J., Ouwehand, A.C., Reifer, C., Stewart, M.E., Miller, L.E. (2011).
Dose-response effect of Bifidobacterium lactis HN019 on whole gut transit time and functional gastrointestinal symptoms in adults.
Scandinavian Journal of Gastroenterology 46, 1057-1064.

7.免疫機能の強化

HN019™が免疫細胞を活性化させることで、免疫機能を増強させるという特性を持っているということがわかっています。

HN019™の免疫機能増強特性は、健康な中年または高齢者のグループを対象としたいくつかのヒト試験で調査されています。
HN019™を含む牛乳を摂取している被験者では、末梢血単核細胞で作られるインターフェロン-αの増加と、多形核細胞の食作用が観察されました。この結果は、HN019™が自然免疫を強化する可能性があることを示しています。(グラフ3)
別の研究では、男性及び女性被験者の双方においてHN019™摂取後にナチュラルキラー細胞活性の統計的に有意な増加が認められました。(グラフ4)

グラフ3【HN019™の摂取による、貪食活性への影響】
グラフ4【HN019™の摂取による、ナチュラルキラー細胞活性への影響】
※末梢血単核細胞:血液から分離された単球やリンパ球を含む単核細胞
※インターフェロン-α:動物体内で病原体などの異物の侵入に反応して細胞が分泌するたんぱく質
※多形核細胞、ナチュラルキラー細胞:白血球の一種
Adapted from Arunachalam, K., Gill, H., Chandra, R. (2000). Enhancement of natural immune function by dietary consumption of Bifidobacterium lactis (HNO19). European Journal of Clinical Nutrition 54, 263.
Adapted from Gill, H., Rutherfurd, K., Cross, M. (2001a). Dietary probiotic supplementation enhances natural killer cell activity in the elderly: an investigation of age-related immunological changes. Journal of Clinical Immunology 21, 264-271.